基本情報
患者
20代後半、女性、会社員(事務職)。
初診日
X年5月23日
主訴
長年続く肩こり、猫背
既往歴
特になし。
診察
現病歴
物心ついた時から姿勢が悪い。初回の半年前に肩こりで整形外科を受診したが、特に処置は行われず、湿布を渡された。
整骨院・接骨院にも行ってみたが、効果を感じられず続かなかった。
所見・触診
やせ型。身長は160cm台後半~170cm前後。
背の高さの割に筋肉がないのを本人も気にしている様子。
座り仕事が中心で、プライベートでもゲームなどを同じ姿勢で長時間続けることが多い。運動の習慣はない。
身体の左側を下にして背中を丸めて寝るクセがあるという。
首や肩に加えて頭部の緊張が強い。触診すると、背中にもスジ状のコリの固まりがいくつもあるのが分かる。
見立て・評価
年代を問わず、長年の姿勢のクセによる疲労の蓄積に悩まされている人は多い。
患者は生真面目な性格で、おそらく精神的なストレスレベルが高い。
肩こりや猫背がこのまま悪化すると仕事に差し支えるという危機感を抱いている。
酒やタバコ、偏食、生活リズムの乱れなど、体質改善の妨げになりそうな習慣はない。
特に気がかりな持病などもない。
時間をかけても姿勢を良くして前向きになりたいという意欲が感じられる。
施術計画
まずは首や肩、背中の筋緊張をゆるめることを第一とする。
その時ごとのつらい症状に対応しつつ、全体的・長期的な体質改善に重きを置いた施術を行う。
主に温灸による施術で全身の血行改善とメンタル面も含めたリラクセーションを図る。
顔のニキビと毛穴の開きも気になるとのことで、時間の許す範囲で美容の施術も行う。
経過・結果
施術内容
腹部、上背部、腰部への棒温灸で血行促進と生命力の賦活を図る。
首、肩、上背部、脚部への鍼で緊張緩和と血行促進を図る。
頭の緊張に対しては頭部や顔面への鍼、マッサージも併用する。
経過・結果
初回施術の直後から猫背が改善し、首がすらっと伸びた本来の姿勢が垣間見られた。
その後も施術希望の連絡をいただき、2週間から1カ月に1回のペースで継続して施術を行った。
夏場に体調を崩しやすいとのことで、腰痛や胃の不調などを経過しつつも、全体的には姿勢が改善し、体力が向上している様子であった。
X年8月19日(5回目)には施術後の身体の軽さを「重力が違う世界に来たみたいだ」と表現してくださった。
その後もほぼ月に1回のペースで施術を継続し、X+1年7月4日までに全部で14回の施術を行った。
考察・まとめ
姿勢をよくしておしゃれをしたいという目的を持ち、1年以上の長期にわたり施術を継続していただいた症例です。
この症例の患者さんは就寝前のストレッチを日常のルーチンに取り入れたり、カバンを左で持っていたのを右に変えるなどの工夫をして、生活習慣の見直しにも積極的に取り組んでくださいました。
施術を定期的に受ける中で、ご自分の身体への気づきが深まり、症状の悪化を避ける行動ができるという好循環が生まれると、体質改善がさらに進みます。
最初の主訴であったお悩みが解決した後も、予防や健康維持のために月1回~2回、鍼灸の施術を継続して受けていただくことをおすすめします。

X年11月27日(8回目)施術時。後頭下筋群、背中の胸椎沿いと肩甲骨部に鍼、腰椎部に棒温灸をしているところを頭側から撮影。
本症例集は個人の体験に基づくものであり、効果には個人差があります。

